2025年10月24日
大腸がんとは
大腸がんとは、大腸粘膜の表層から発生する悪性腫瘍のことです。大腸の悪性腫瘍といっても実は色々あります。大腸癌のほかにも、悪性リンパ腫や神経内分泌腫瘍などが大腸に発生する場合があります。このページでは、大腸癌について説明していきます。
大腸癌は、良性の大腸ポリープが癌化する場合と、大腸粘膜からいきなり癌が発生する2つのタイプがあります。ほとんどの大腸癌が前者のポリープから癌化するタイプです。
日本で多くみられる大腸癌
近年では大腸癌(結腸癌・直腸癌)の罹患率は横ばい傾向ですが、1985年(昭和60年)頃と比べると大きく増加しました。
2021年の部位別がん罹患数(男女別)と2024年の部位別がん罹患数予測(男女別)を比較してみると概ね横ばいです。
(日本のがん統計より引用して作成) しかし、他のがんと比較すると男女ともに大腸癌の罹患数が多いです。

大腸癌が増加している原因として、食事の欧米化による、加工肉や赤肉(牛、豚)の摂取、運動不足、高齢化などが考えられています。
大腸癌の生存率
結腸癌の5年生存率はStage 0で93.0%、StageⅠで92.3%と早期の段階では良好な結果ですが、StageⅣでは19.9%と下がってしまいます。やはり進行すると他の癌と同様に厳しい結果となっていますが、早期に見つかれば治ることがわかります。
大腸癌の症状
初期症状はほとんどありません。進行すると、以下のような症状がでることがあります。
- ・血便
- ・便が細い
- ・便秘や下痢
- ・残便感
- ・腹痛
- ・貧血
- ・腹部膨満感
「ずっと血がでていたが痔だと思っていた」、「昔から便秘だった」、「もともと便は緩い方」という方が実は大腸癌だった・・・、ということが時々あります。油断せず定期的な検査を受けましょう。
主な検査方法
大腸癌や大腸ポリープに対する検査は以下のものがあります。最もスタンダードで確実な検査は大腸カメラです。
便潜血反応
いわゆる「スクリーニング検査」です。腫瘍からのわずかな出血を検出する検査です。便を二日間採取して判定します。コストが安く、集団全体のがん死亡率を下げる効果があり対策型検診に利用されています。陽性になると精密検査(大腸カメラ)が必要になります。
大腸カメラ(下部消化管内視鏡検査)
内視鏡を肛門から入れて、大腸を観察する検査です。大腸の中を直接観察するので正確かつ確実な検査です。病理組織検査を行い確定診断することが可能であり、癌化する可能性のあるポリープをその場で切除することも可能です。通常だと苦痛を感じやすいですが、鎮静剤を使用することで楽に検査できます。
大腸CT検査(CTコロノグラフィー:CTC)
大腸カメラと同様に下剤を使用して前処置を行います。便を出し切った状態でお尻からガスを入れて大腸を膨らませます。その状態でCT撮影を行い3D構築します。大腸カメラより苦痛は少ないですが、病理組織検査やポリープ切除は同時にできません。異常が見つかった場合は精密検査のため大腸カメラが必要になります。
注腸造影検査
肛門から造影剤を流してX線で撮影します。大腸癌の形や場所、大きさなどを調べるときに適しています。
CT検査、PET-CT検査 など
がんの範囲やリンパ節転移、遠隔転移を調べるために行います。
大腸カメラを受けるタイミングは?
大腸癌の罹患率は40歳から徐々に増えていき高齢になればなるほど高くなります。そのため、検査を受ける目安は40歳頃からおすすめします。その後は1-3年ごとに定期的に受けることが望ましいです。
当院では苦痛の少ない、眠って受けられる大腸カメラ検査を行っております。消化器内視鏡専門医・消化器病専門医が一人一人丁寧に診察しております。お気軽にご相談ください。
