2025年7月24日
好酸球性食道炎(EoE)とは
何らかのアレルギー反応によって、食道の壁に好酸球による慢性的な炎症が起きることにより食道の運動や知覚に異常がでる慢性のアレルギー疾患です。
原因ははっきりしていませんが、牛乳や小麦、卵、大豆、ナッツ類、海産物などのアレルゲンが免疫応答を起こし食道に炎症が生じていると言われています。このなかでも特に牛乳と小麦の頻度が高いと報告されています。
また、好酸球性食道炎の約80%が男性で成人では40~50歳程度の方が多いです。約半数の方に気管支喘息などの何らかのアレルギー疾患を持っていることがあります。
よく似た名前で「好酸球性胃腸炎(EGE)」という疾患がありますが、「好酸球性食道炎(EoE)」とは別に扱われています。EoEとEGEは「好酸球性消化管疾患(EGIDs)」として2015年より指定難病となっています。
主な症状
以下のようなものがみられます。
- 胸のつかえ感
- 飲み込みづらさ
- 胸の痛み
- 胸やけ
ただし、症状がほとんどない場合も多数います。
診断方法
主な検査方法は、以下のものがあります。
- 胃カメラ検査
- 食道造影検査
- CT検査
診断基準に食道粘膜に好酸球が多数存在することを証明する必要があるため、胃カメラ検査が最もスタンダードな検査です。
当院でも上記のような症状がみられた方には胃カメラ検査を行っております。胃カメラでは特徴的な食道の異常所見がみられる場合があり、診断の一助となります。また、病理組織検査を行い食道粘膜に好酸球が多数存在することを確認します。
治療方法について
原因である食物アレルゲンを除くと軽快・治癒することが期待されます。特に多い、牛乳や小麦、卵、大豆、ピーナッツなどのナッツ類、海産物などを避けた食事を続けると症状は徐々に改善します。
薬物治療では、酸分泌抑制薬(PPI)やステロイドによる治療を行う場合もあります。
放置するとどうなる?
長期間かけて食道が線維化して、食道が狭くなることがあります。狭くなってしまうと嚥下障害などの症状が悪化してしまいます。狭くなってしまった場合、食道バルーン拡張術が必要となることがあります。
まとめ
好酸球性食道炎の長期予後に関しては十分なデータというのはまだありません。症状の一つである、胸のつかえ感や飲み込みづらさというのは、咽頭癌や食道癌などの悪性疾患の主症状でもあります。こういった症状から胃カメラ検査を行い、悪性疾患がないか確認し、原因を突き止めることが重要であると考えています。
気になる症状があれば早めの受診をおすすめいたします。