2025年8月29日
感染性腸炎とは
感染性腸炎とは、ウイルスや細菌、寄生虫などの病原体が腸に感染することで起こる腸の炎症性の病気です。下痢や腹痛、発熱、吐き気・嘔吐といった症状を引き起こし、多くの場合は数日〜1週間程度で自然に改善しますが、症状が強い場合や脱水が進むと点滴などの治療が必要になります。
主な原因
- ウイルス性腸炎(ノロウイルス、ロタウイルスなど)
- 細菌性腸炎(サルモネラ、カンピロバクター、腸炎ビブリオ、ウェルシュ菌、病原性大腸菌など)
- 寄生虫による腸炎(アメーバ赤痢、ジアルジアなど)
状況による分類
市中感染下痢症
食中毒と散発性下痢症があり、病原体の多くが共通しています。細菌性ではカンピロバクター、サルモネラ、大腸菌などが多く、ウイルスではノロウイルス、ロタウイルスが多いです。通年で発生しますが、細菌性は夏季に、ウイルス性は冬季に増加します。
旅行者下痢症
旅行中や帰国10日以内に発症する下痢症のことです。ほとんどが水や食品を介した感染で、病原体は細菌が80~85%、寄生虫が10%、ウイルスが5~10%を占めています。インドや東南アジアなどの発展途上国に渡航する際は要注意です。
院内・施設内感染
食品、水、手指、器具、環境を介して感染します。原因としてClostridioides difficile(CD)やクリプトスポリジウムなどが挙げられます。特にCDは芽胞を形成して長期間生存するため感染の原因となりやすいです。
抗菌薬関連下痢症
抗菌薬を長期で使用すると腸内で菌交代現象が起きClostridioides difficileが繁殖するCD腸炎になることがあります。ほかにもKlebsiella oxytocaに関連した抗菌薬起因性出血性大腸炎などがあります。
日和見感染症
高齢者やHIV感染症、免疫抑制薬により、免疫力が落ちた方にみられます。原因はクリプトスポリジウムやサイトメガロウイルス(CMV)、非結核性抗酸菌、サルモネラなどが挙げられます。
主な症状
- 下痢(水様便や血便)
- 腹痛・腹部の不快感
- 発熱
- 吐き気・嘔吐
- 全身のだるさ、食欲低下
- 脱水症状(口の渇き、尿量減少、ふらつき など)
受診を検討すべき症状
以下のような場合は、早めの医療機関受診をおすすめします。
- 強い下痢や嘔吐が続き、水分がとれない
- 高熱(38℃以上)がある
- 血便が出る
- 高齢の方、小さなお子さま、基礎疾患のある方で症状が強い
- 海外旅行から帰国後に下痢が長引いている
診断と検査
感染性腸炎の診断は、症状や経過の問診が基本です。必要に応じて以下の検査を行います。
- 便検査(便培養・便抗原検査)
- 血液検査(炎症反応の有無を確認)
- 画像検査(重症例で腸の状態を確認する場合)
治療について
多くの場合は安静・水分補給・消化の良い食事で自然に改善します。
- 脱水予防:経口補水液や点滴で水分と電解質を補います
- 対症療法:整腸剤や制吐剤を使用
- 抗菌薬:細菌性腸炎で重症の場合に限って使用(ウイルス性には無効)
日常生活での予防
- 手洗いを徹底する(特に調理や食事前、トイレの後)
- 食材は十分に加熱する
- 生ものの取り扱いに注意する
- 飲料水や氷は清潔なものを利用する(特に海外渡航時)
まとめ
感染性腸炎はよくみられる病気ですが、症状が強い場合や長引く場合は注意が必要です。
藤野クリニックでは、症状に応じた適切な診断・治療を行っております。脱水症状が心配な方や重い下痢・発熱が続く方は、どうぞご相談ください。