2025年7月22日
胃潰瘍・十二指腸潰瘍(消化性潰瘍)とは
胃潰瘍・十二指腸潰瘍とは、胃や十二指腸の粘膜が傷ついてえぐれた状態になる病気です。浅い傷を「びらん」、深い傷を「潰瘍」と言います。多くは「ピロリ菌感染」や「ストレス」「痛み止め(NSAIDs)の常用」などが原因で、胃酸や消化酵素によって粘膜が障害されることで発症します。
胃にできたものを「胃潰瘍」、小腸の入り口である十二指腸にできたものを「十二指腸潰瘍」と呼びますが、症状や治療法に共通点が多く、あわせて診療されることが一般的です。
主な症状
以下のような症状がみられます。
- みぞおちの痛み(空腹時や食後) 胃潰瘍は食直後、十二指腸潰瘍は空腹時や夜間に多い
- 胃もたれ・膨満感
- 吐き気・嘔吐
- 食欲不振・体重減少
- 黒色便(タール便)
- 吐血(進行している場合)
- 失神、貧血症状
※症状がない「無症候性潰瘍」のこともあり、特に高齢者では注意が必要です。(およそ10%程度)
原因と背景
胃潰瘍・十二指腸潰瘍の主な原因には以下のものがあります。
ヘリコバクター・ピロリ菌感染
胃の粘膜に長期間すみつく細菌で、慢性的な炎症を引き起こします。ピロリ菌感染者では潰瘍の発症リスクが高く、再発もしやすくなります。
NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)の使用
ロキソニンやイブプロフェンなどの痛み止めを長期間使用すると、胃の粘膜を守る仕組みが抑制され、潰瘍ができやすくなります。飲み薬だけではなく、湿布薬でも潰瘍になることがあります。
ストレス・喫煙・アルコール
胃酸分泌が増加したり、粘膜の防御機能が低下したりすることで、発症に関与します。
診断方法
当院では、胃カメラ(上部消化管内視鏡検査)によって、潰瘍の有無や程度を直接確認します。胃カメラでは、粘膜の状態や出血の有無、がんとの鑑別も可能です。
必要に応じて、ピロリ菌検査(血液、便、呼気など)や、貧血・炎症をみる血液検査も併用します。
治療法について
1. 薬物療法
- 胃酸の分泌を抑える薬(PPI、P-CABなど)
- 粘膜を保護する薬
- ピロリ菌が原因の場合は除菌療法
通常は数週間〜1ヶ月ほどで潰瘍は改善します。
2. ピロリ菌除菌治療
ピロリ菌陽性と診断された方には、抗菌薬と胃酸分泌抑制薬を1週間内服する除菌療法を行います。除菌によって再発を防ぐことができます。
※当院では一次除菌・二次除菌・自費での三次除菌にも対応しています。
放置するとどうなる?
潰瘍を放置すると、以下のような合併症を引き起こすことがあります。
- 出血(吐血・黒色便)
- 穿孔(胃や腸に穴があく)
- 狭窄(出口が狭くなり食事が通りにくくなる)
少しでも不調を感じたら、早めの受診をおすすめします。
当院の特徴
- 丁寧な胃カメラ検査 豊富な治療経験を有する内視鏡専門医が行います
- 鎮静剤を用いた無痛内視鏡検査
- FUJIFILM社製の最新型スコープ(FUJIFILM EG-860Z)を使用
- 経鼻スコープも対応可能 ー起きた状態でも楽にやれます
- ピロリ菌検査・除菌治療まで一貫対応
治療後はフォローアップが重要
消化性潰瘍の治療は、PPIやP-CABを内服することにより、ほとんどの場合で治ります。ただし、症状がひどい場合や治療後も続く場合は、他の原因を除外するために内視鏡検査を検討することがあります。
また、治癒過程を確認するためにも胃カメラ検査を行うことがあります。治療開始したら医師と相談しましょう。
まとめ
胃潰瘍・十二指腸潰瘍は、早期に発見し適切に治療すれば、ほとんどが改善する病気です。みぞおちの痛みや黒い便、食欲不振などがある方は、早めにご相談ください。
検査から治療まで、患者さんの不安に寄り添いながら、専門的な診療を行っています。