2025年7月31日
食道胃静脈瘤とは
食道胃静脈瘤とは、食道や胃の粘膜の下にある静脈が、こぶのように膨らんだ状態を指します。特に肝硬変などの肝臓の病気が原因で門脈(腹部の血液を肝臓に運ぶ太い血管)に圧がかかると、血液の流れが変わり、食道や胃にある静脈に血液が逆流して、静脈が太くなってしまいます。
この静脈瘤は、破裂すると命に関わる大出血を起こす可能性があるため、早期の発見と治療が非常に大切です。
原因
食道胃静脈瘤の主な原因は以下のような肝臓疾患です。
- 肝硬変(B型肝炎、C型肝炎、アルコール関連肝疾患、MASLD/MASHなど)
- 特発性門脈圧亢進症
- Budd-Chiari(バッド・キアリ)症候群
- 肝臓がん
- 原発性胆汁性胆管炎
症状
静脈瘤自体は自覚症状がないことが多いですが、進行すると以下のような症状が現れることがあります。
- 吐血(血を吐く)
- 黒色便(タールのような便)
- めまい・貧血症状
- 動悸、息切れ
出血は突然起こることがあり、初めての症状が「大量の吐血」という場合もあるため、肝臓の病気がある方は定期的な内視鏡検査が必要です。
検査
当院では、上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)を用いて、静脈瘤の有無や大きさ、出血のリスクを評価します。
必要に応じて以下の検査も行います。
- 腹部エコー
- CT・MRI(他院と連携)
- 血液検査(肝機能・凝固系など)
治療
出血の有無や静脈瘤の大きさにより、以下のような治療を行います。
1. 出血予防のための治療
- 内視鏡的結紮術(EVL):輪ゴムのようなバンドで静脈瘤を縛り、血流を止めます。
- 内視鏡的硬化療法(EIS):硬化剤を注入して静脈瘤を縮小させます。
- 薬物治療(出血予防効果)
2. 出血時の治療
- 内視鏡による緊急止血術(EVL、ヒストアクリルなど)
- 血管内カテーテルによる止血術
- 集中治療・輸血管理
当院での対応
食道静脈瘤や胃静脈瘤は出血した場合、命にかかわる病気です。総合病院での検査や治療が必要なケースが多いため、診療所としての役割は出血する前に見つけることや発症を防ぐ治療が求められます。食道胃静脈瘤を発見した際には一度総合病院にご紹介させていただきます。
肝臓の病気がある方は、積極的に胃カメラ検査を受けることをおすすめ致します。
このような方はご相談ください
- 肝硬変と診断されたことがある方
- 過去に吐血や黒色便を経験したことがある方
- ウイルス性肝炎の治療中
- 健康診断で肝機能異常を指摘された方