2026年8月04日
大腸憩室症とは
大腸憩室症とは、大腸の壁の一部が外側へ袋状に飛び出した状態(憩室)がある病気です。
年齢とともに増える病気で、日本では40歳頃から増え始め、60歳以上では珍しくありません。近年は食生活の欧米化や高齢化により患者さんは増加しています。
憩室があるだけでは病気ではなく、多くの方は症状がありません。
しかし、一部の方では
- 憩室から出血する「大腸憩室出血」
- 憩室に炎症が起こる「大腸憩室炎」
- 炎症や出血はないが、慢性的な腹痛や便通異常に悩む「SUDD(symptomatic uncomplicated diverticular disease)」
を発症することがあります。
大腸憩室はなぜできるの?
大腸の壁には血管が通る弱い部分があります。
そこへ便秘などによって腸の内側の圧力が繰り返しかかることで、粘膜が外側へ押し出され、袋状の憩室ができると考えられています。
加齢も大きな要因であり、誰にでも起こりうる変化の一つです。
症状
憩室があるだけの場合
ほとんどの方は症状がありません。
健康診断や大腸カメラで偶然見つかることがほとんどです。
ときに慢性的なお腹の張りや痛み、便秘や下痢を起こす場合があり、SUDDといいます。
大腸憩室炎の症状
憩室に細菌感染や炎症が起こると、
- ・腹痛
- ・発熱
- ・便秘や下痢
などが現れます。
炎症が強い場合には、
- ・膿瘍(うみ)
- ・穿孔(腸に穴が開く)
- ・腹膜炎
など重症化することがあります。
大腸憩室出血の症状
憩室の近くを通る血管が破れることで、
突然、真っ赤な血便が大量に出る
ことがあります。
特徴として
- ・腹痛がないことが多い
- ・鮮やかな赤または暗赤色の血便
- ・一度に多量に出血することがある
という点が挙げられます。
約7~9割は自然に止血しますが、出血量が多い場合は緊急治療が必要になることがあります。
検査
大腸カメラ検査(下部消化管内視鏡検査)
最もよく行われる検査です。
憩室の数や場所を確認でき、大腸がんやポリープなど他の病気も同時に調べられます。
出血している場合には止血治療を行えることもあります。
CT検査
憩室炎が疑われる場合に非常に重要な検査です。
炎症の程度や膿瘍、穿孔の有無を確認できます。
血液検査
炎症の程度や貧血の有無を調べます。
治療
症状がない場合
治療は必要ありません。
普段どおり生活して問題ありません。
便秘がある方は便通を整えることが大切です。
大腸憩室炎
軽症では
- ・食事制限
- ・水分補給
- ・必要に応じて抗菌薬
で改善することが多いです。
重症例では
- ・入院
- ・点滴
- ・絶食
- ・ドレナージ
- ・手術
が必要になる場合があります。
大腸憩室出血
自然に止まることも多いですが、
- ・出血が続く
- ・貧血が進行する
- ・血圧が低下する
場合には緊急入院が必要です。
大腸カメラで出血部位が確認できれば、
- ・クリップ
- ・内視鏡的結紮術(EBL)
などによる止血を行います。
内視鏡でも止血できない場合にはカテーテル治療(IVR)や手術が必要になることがあります。
食事で気をつけること
大腸憩室症を予防するために
- ・食物繊維を十分摂る
- ・水分をしっかり飲む
- ・便秘を予防する
- ・適度な運動をする
ことは健康維持に役立ちます。
このような症状は早めに受診してください
次のような症状がある場合は早めの受診をおすすめします。
- ・真っ赤な血便が出た
- ・激しい腹痛
- ・発熱を伴う腹痛
- ・お腹が硬くなっている
- ・血便が何度も続く
- ・めまいやふらつきがある
大量出血や強い腹痛は救急受診が必要になることがあります。
当院でできること
当院では、消化器内視鏡専門医・消化器病専門医が腹痛や血便といった消化器症状の診察をおこなっております。また、鎮静剤を使用した苦痛の少ない大腸カメラ検査を得意としています。必要に応じて検査をご提案させていただきます。
また、憩室出血などによる大量出血は高度医療機関へ迅速に紹介いたします。
血便や腹痛は、大腸憩室症だけでなく大腸がんや潰瘍性大腸炎などが原因のこともあります。症状がある場合は自己判断せず、お早めにご相談ください。