2026年7月22日
肝臓がん(肝細胞癌)とは
肝臓がんにはいくつか種類がありますが、その約90%を占めるのが肝細胞がん(肝細胞癌)です。
肝細胞がんは、肝臓の細胞そのものから発生するがんで、多くは慢性肝炎や肝硬変、脂肪肝(MASLD/MASH)を背景に発症します。
初期には自覚症状がほとんどなく、健康診断や腹部超音波検査で偶然発見されることも少なくありません。そのため、肝臓に病気のある方は定期的な検査による早期発見が非常に重要です。
このような方は注意が必要です
以下に当てはまる方は、肝細胞癌のリスクが高くなるため、定期的な検査をおすすめします。
- B型肝炎ウイルスに感染している
- C型肝炎の治療歴がある、または現在治療中
- 肝硬変と診断されている
- 脂肪肝(MASLD/MASH)がある
- 糖尿病、肥満、脂質異常症がある
- 飲酒量が多い
主な症状
初期の肝細胞癌は症状がないことがほとんどです。
進行すると次のような症状がみられることがあります。
- 倦怠感
- 食欲低下
- 体重減少
- 右上腹部の痛みや違和感
- お腹の張り(腹水)
- 黄疸
- 発熱
これらの症状が出現した時点では進行している場合もあるため、症状が出る前に定期検査を受けることが重要です。
原因
B型肝炎
現在でも肝細胞癌の重要な原因です。肝硬変でなくても発症することがあります。
C型肝炎
抗ウイルス治療によって治癒した後でも、肝硬変や高度の線維化がある場合は肝細胞がんが発生することがあります。
脂肪肝(MASLD/MASH)
近年増加している原因です。
肥満や糖尿病などの生活習慣病に伴う脂肪肝から肝細胞がんが発生することがあり、近年特に注目されています。
アルコール性肝障害
長期間の多量飲酒は肝硬変や肝細胞がんの原因となります。
検査
血液検査
- 肝機能
- AFP
- PIVKA-II
- B型・C型肝炎検査
腫瘍マーカーだけでは早期がんを見つけられないこともあるため、画像検査との組み合わせが重要です。
腹部超音波検査(腹部エコー)
肝細胞癌のスクリーニングとして最も重要な検査です。
被ばくがなく、外来で短時間に行えるため、定期検査に適しています。
CT・MRI
超音波で異常が疑われた場合や、より詳しい評価が必要な場合に行います。
造影CTや造影MRIにより、がんの性質や広がりを詳しく評価します。
治療
病気の進行度や肝機能によって治療法が決まります。
代表的な治療には
- 手術(肝切除)
- ラジオ波焼灼療法(RFA)
- 肝動脈化学塞栓療法(TACE)
- 化学療法(免疫チェックポイント阻害剤や分子標的薬など)
- 肝移植(適応がある場合)
などがあります。
近年は薬物療法も大きく進歩しており、患者さん一人ひとりに合わせた治療が行われています。
定期検査が重要です
肝細胞がんは早期に発見できれば根治が期待できます。
日本肝臓学会などでは、肝細胞がんのリスクが高い方には6か月ごとの腹部超音波検査と腫瘍マーカー測定が推奨されています。肝硬変やB型肝炎など、よりリスクが高い方では、さらに短い間隔での画像検査が勧められることもあります。
定期的な検査を続けることで、小さいうちに発見できる可能性が高まります。
当院でできること
当院では肝臓疾患の診療を行っています。
- 肝機能異常の精密検査
- B型・C型肝炎の検査
- 脂肪肝(MASLD/MASH)の評価
- 腹部超音波検査
- 腫瘍マーカー測定(AFP・PIVKA-II)
- 定期フォローアップ
- 必要に応じてCT・MRIが可能な医療機関へのご紹介
- 肝細胞がんが疑われた場合の速やかな専門病院へのご紹介
肝臓がんは早期発見が何より重要です。健康診断で肝機能異常を指摘された方や、B型・C型肝炎、脂肪肝を指摘されている方は、お気軽にご相談ください。
よくある質問
Q. 肝臓がんになると痛みはありますか?
初期にはほとんど症状がありません。痛みが出る頃には進行していることもあるため、定期検査が重要です。
Q. C型肝炎が治ったら安心ですか?
ウイルスが排除されても、肝硬変や高度の肝線維化がある方では肝細胞がんのリスクが残るため、定期検査を継続することが大切です。
Q. 脂肪肝からも肝臓がんになりますか?
はい。脂肪肝から肝細胞がんが発生することがあります。糖尿病や肥満を伴う方は、生活習慣の改善と定期的な診察をおすすめします。